議会活動
平成21年 質問・答弁2
- 質問内容(1)
- 新政会の波多正文でございます。
9月定例会におきまして、一般質問の機会を与えていただきましたことをお礼申し上げます。
まず、先日の台風9号により、とうとい人命20人を失い、甚大な被害をこうむられてから1カ月。兵庫県佐用町等の皆さんに対しまして、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
それでは、質問に入らせていただきますが、質問に当たりましては、市長並びに理事者の皆さんには、意のあるところをお酌み取りいただきまして、あわせて明確な御答弁をお願いいたします。
先輩並びに同僚の議員の皆さんには、御清聴のほどよろしくお願いいたします。
まず、財政運営にかかわる問題についてお尋ねいたします。
平成20年度末の市債残高は、一般会計で2,340億円、特別会計で406億円であり、合わせて2,746億円。さらに、土地開発公社などの将来負担見込み額を含めると約3,200億円に上ります。
将来に向けた事業の投資が多く含まれていますが、端的に言って、その中には内容を根本的に転換しなければならないものも含まれております。文字どおり負の事業になってしまったものも抱えている形でありますが、改善しながら、尼崎市が今目指している将来を見据えたまちづくりを推進しなければなりません。
現在の世界的不況、そして国内ではさきの総選挙で一大転換期を迎え、先行き期待がある一方で不安も感じられる状況であります。
さて、尼崎市は、重工業の都市から環境問題の克服、そして都市型産業の育成には40年ほどの歳月を有しました。しかし、その反面、重工業の企業は多く尼崎市から転出し、また企業の下請の中心となる中小企業は技術を向上したり、小さくても力を持った事業所に転換することは一朝一夕にはできないことでもあり、力強い産業都市への移行にはまだほど遠い道程になっているのではないでしょうか。
尼崎市は、やはり産業・文化環境都市を見据え、こうした関連の施策を推進していくためにも、足腰の強い財政力と健全育成を進める行政力を養わなければなりません。
しかしながら、バブル崩壊以降、阪神・淡路大震災による大打撃により、阪神間は経済的にもなかなか復興が進みませんでしたが、ようやく復興が終結して、いよいよ大きく展開していこうとするやさき、ガソリン高、続いてサブプライムローンによるリーマンショックに端を発した世界同時不況に見舞われてしまいました。この結果、税収に大きな影響が見込まれることから、投資的事業を初めとする一般財源を必要とする事業への影響も出てくるものと思っております。
これまで尼崎市の投資的事業の経費は、競艇による収益を当てにして、また起債も活用しながら多くの事業を行ってきましたが、収益事業からの収入は過去最大146億円から、現在は3億円に落ち込んでおります。
そこでお尋ねいたします。
センタープールの収益は、以前の市長のとき、すべて投資的経費に充当するとされていました。3億円という収益も、公共施設の積立金として平成20年度から充当されているので、直接一般会計ということもなくなってしまった形となっています。では、今の収益事業収入をそのまま投資的経費としてのその年度の事業に充当し実施していったことに対して、現在、収益98%減の現状は、投資的事業の財源確保の役目も果たしているということはできません。競艇事業から生み出されている収益の活用方法、投資的事業の財源など、以前と比べて何をどのように変えたのか、十分機能しているのかなども含め、わかりやすくお聞かせください。
また、その分、他都市と対比しても、一般会計中には競艇からの投資的事業への予算が確保されていますから、その分、回り回って扶助費に出される予算においても、間接的にセンタープールという企業からの恩恵を受け継いだ形となっていると言えることになると思います。
しかしながら、98%減になっている現在、少子高齢化が進む尼崎では扶助費も年々増加する一方です。競艇会計から間接的にでも潤沢にあったときと対比して、扶助費の予算と投資的事業費の確保について、一般会計予算の中で位置づけるについて、どのように考えているのでしょうか。また、他の中核都市においては、どのような状況かをお尋ねいたします。
さて、日本がやっと不良債権処理のめどが立ち、未来に向けての痛みを伴いながらの構造改革も、戦後日本の財政の抜本的な改革の端緒となったものの、痛みがやっと和らぎ、景気にも力がつき始めたときに世界的不況に陥った今日、尼崎市もその多くの影響を受けました。
これまでの財政改革の結果、財政の収支状況がレベル3に近づいていましたが、行財政体質を改善に向け今後も努力しなければ、景気の動向によっては直ちに後戻りになってしまう現状であり、このままでは赤字財政団体に転落するレベル1に限りなく近いレベルに戻ってしまいます。
今、行財政構造改革を、初めから計画を見直さなければならなくなったのが現在の尼崎市であり、また今まで延伸していた実施計画を今後どのようにするのかといった課題も待っています。
先日、来年度予算調整方針が出され、また10月に予算編成方針が提出されます。レベル1に近いレベル2にある現在、今までの行財政改革の取り組みを、以前の努力をも増して内部の抜本的な改革に切りかえなければならないと考えます。揺るぎない改革、市民に信頼される改革が求められます。
私は、いまだに行政ができる努力に手をつけず、良識ある市民、まじめに社会に尽力している市民の中には、行政活動に不満を多く持っていることを昨今よく聞きます。予算の質の向上と効率化を実現して、さらに尼崎市を産業、文化、環境が整い、住み続けたいまちにつくり上げるためにも、今が一番正念場であります。
そのために、以前から何度も提案し、少し取り組んでもらっています政策評価システムとあわせて、行政経営品質向上活動を加えることが必要だと思います。それには、政策、施策、基本事業、事務事業という流れですが、事務事業の活動は、政策や施策に基づいての内容でありますが、尼崎市の場合、事務事業の活動は政策や施策に基づいていないようであり、事務事業の評価だけでは無理なので政策評価も必要であります。尼崎市のものは自己評価であります。その意味では、予算編成方針の後、各担当から上がってくる予算要望書の中に政策評価表と行政経営品質向上書を添えて提出し、それを議会にも公開すべき公文書として位置づけ、議会においても、すぐに評価されるような開かれた行政運営が望まれます。
これから行われる予算要求について、各担当部局が足腰の強い尼崎市につくり上げていこうと思っておられるのか、その決意と基本になる質の向上した行財政改革を基本とした、未来に向けた尼崎市の都市を形成しながらのレベル3という収支均衡を近々の目標にしっかりと意識されているのかどうかといった視点で順次お尋ねしてまいります。
初めに、現在の事務事業評価、努力して作成されたものをどのように生かしておられるのかをお聞きいたします。
評価表について、プラン、計画案、企画、ドゥー、行政活動、シー、結果評価ということを表に記入する必要があります。プランでは、以前の事業検討結果について、構造改革に沿って、方法の抜本的な改善を目的に沿って立案し直し、固めていく必要があります。
次に、行政活動として事業化していくときに考えなければならない必要項目は、事業の目的と成果について、1、対象、2、手段、3、意図、4、結果・効果、5、根拠法令、6、財源内訳、対費用効果、7、全体事業計画、8、事業指標名、9、事業の推移等々、活動、成果、予算、必要コスト指標、そして、シーとしての結果評価が必要となります。
そこでお尋ねいたします。
つまり、公共、国、県、市、対象、意図、意図についての手段、他の意見集約、総合行政視点、立脚点などの妥当性を評価して行政活動の適正化を図る、このような評価シートを明確に、担当課は適正に項目に記入し、調整方針、編成方針をすべての事業で行い、決定したものは公文書として議会にできる限り提出し、審査の対象にすべきと思います。
当局は、今回から今までの評価表を改善されると聞きましたが、どのように改善されようとされておられるのかをお答えください。また、今、提案している評価シートの実現についてはいかがでしょうか、あわせてお聞かせください。
次に、7月の調整方針並びにこれからの予算編成について順次お尋ねいたしまします。
調整方針には、財政の現況を示し、その危機的な状況の要因として、1、景気変動、扶助費増加、2、将来負担、負債解消に取り組めなかった等が示されてあります。その内容について、ほとんど外的な要因が述べられています。
そこでお尋ねいたします。
財政の危機的な現況の要因を、外的なことを中心に書かれていますが、私は危機的現況に再び至ったのは、行政内部の反省、つまり内部経費の見直しを十分に行ってこなかったのが大きな要因ではないかと考えております。内部経費の見直しは十分してきたと考えているのでしょうか、お答えをお願いいたします。
対策についても、基本方針、取り組み方針が示されています。特に、基本方針の中に、1から5の項目でもどのように見直すかも示されず、大切なのは、各事業内容についての評価シートに対して、事業の必要性、ゼロベースから見直し、事業目的、対象、手段、効果、財源、費用、適切・適正な事業へ改善する余地はないのか、なお2割カットの経費で現行以上の効果がある方法はないかなど、市民や民間感覚で事業を改めて創始する力が感じ取れないのであります。今からでも遅くありませんので、抜本的に内部の事業を変えていく取り組みを行っていただきたいと思いますが、具体的な評価シートの切りかえについて実施されますよう要望いたします。
次に、危機的な状況に対して、内部・事業内容への改善意識が依然として変わっていないように思います。
調整方針には、全庁一丸となった取り組みが不可欠とあります。抜本的な見直しを必要とされる今、調整方針では現われていない意識改革につながる提示を、編成方針において内部の意識改革につながる取り組みを行うのでしょうか。
以前のような財源対策といいましても、公有地を売却したくても売れない、統廃合も進まない、基金残高も8億円、そしてこれ以上起債をふやせない市債残高であり、閉塞状態に陥っております。
また、枠配方式といっても、少しの改善事業で予算枠全体を配分されるので、抜本的改革の事業もなく、歳出抑制にもなっていません。
そこでお尋ねいたします。
これから予算編成方針が各担当部局に示されると思いますが、以前の枠配方式で抜本的な改革ができたと思っておられるのでしょうか、お聞かせください。そして、抜本的な、特に内部意識と内部事業改革についての指針を示す必要があると思いますが、どのようなことをその方針として示すおつもりでしょうか、お答えください。
次に、歳入をふやし、歳出を減らすことの取り組みについてでありますが、滞納者から徴収することは当然ですが、施策で受給されていることが適正な条件内にあるかどうかの管理責任もあります。
そこでお尋ねいたします。
この4月から中核都市となり、職員の意識が高まることによって事務処理能力がさらに向上されるのを期待しているのですが、特に税の滞納者からの徴収、生活保護受給者の更生、適正管理について、現在どのような課題を抱えており、その課題解決に向けてどのような改善を考えておられるかお聞かせください。
次に、一番大切なことは、財政健全化と行財政構造改革を実行しながら、将来を見据えて、理想とする都市像への形成を着実に推進していかなければなりません。
私は、産業・文化環境都市と思っていますが、それにしては、まだまだ目標に対して優先して取り組まれるべき政策、施策、そして事業が行われているとは思いません。今後、総計審において議論が進むところなのかもしれませんが、どのようにお考えかをお答えください。
また、産業都市として今後発展させていくためには、事業所を起業して、継続して運営していくための支援策や、就労人口を多くするため他都市と比べて多く建設されている市営住宅の役割を若者向けに転換させる手だてなどを考える必要があると考えています。産業を活性化し、就労人口を増加させるための施策を総合的に取り組むことが今求められていると思いますが、いかがお考えでしょうか、お尋ねいたします。
次に、外郭団体などを活性化する事業を行う必要があります。
例えば、管理費として月200万円収入があるならば、管理者として経常的な経費をいろいろの方法によって軽減するとともに、そこから捻出した費用で人が集まり、その場が活性化する方法の事業を行っていくなど、いろいろ挙げればありますが、このようなことを編成方針の中に示していっていただくよう提案いたします。
外郭団体への活性化に向けた取り組みについて、編成方針に示されることについてどのようにお考えでしょうか、お答えください。
- 答弁要項
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◎企画財政局長(岩田強君)波多議員の御質問に順次お答え申し上げます。
まず、競艇事業収入についてお答えを申し上げます。
まず、収益の活用方法について、以前と比べて何をどのように変えたのかといった御質問でございます。
競艇事業収入につきましては、従前から主に一般会計に組み入れ、教育施設や下水道事業などの投資的事業を中心に充当してまいりました。
また、現在では、平成18年度からの尼崎市競艇事業緊急経営改善計画に基づく競艇場施設整備等基金への積み立てを優先いたしまして、一定額につきましては、"あまがさき"行財政構造改革推進プランに基づきまして財政規律の確保、その使途の明確化を図る観点から、収支に組み入れず、公共施設整備基金に積み立てていくことを基本といたしております。
また、その使途につきましては、学校施設の耐震化事業などに活用しているところでございます。
いずれにいたしましても、収益事業収入の規模は大きく減少しておりますが、まちづくりのための財源であり、また使途の明確化の観点から予算計上方法の変更はいたしましたが、投資的経費に活用するといった考え方には変わりございません。
次に、競艇事業収入が潤沢にあったときと対比をして、扶助費の予算と投資的事業の確保についてどのように考えているのか、また中核市はどのような状況になっているのかといった御質問でございます。
収益事業収入は、平成2年度の146億円をピークに減少の一途をたどり、平成20年度決算におきましては、先ほど申し上げました公共施設整備基金に3億円を積み立てたという大変厳しい状況にございます。
投資的経費につきましては、現在の極めて厳しい財政状況のもと、その抑制に努めているところでございますが、以前からの継続事業や実施が不可欠な事業につきましては、その財源は、通常の国庫補助金などの特定財源のほか、起債充当率のかさ上げや公共施設整備基金の活用といった財源対策に頼らざるを得ない状況となっております。
また、扶助費につきましても、経費の性質上、義務的経費であることから、その財源は優先的に確保されなければならないものでございます。
なお、中核市のうち競艇事業を施行している都市は3市ございまして、いずれの都市も本市と同様に収益事業の落ち込みが激しく、財源として多くを望めない状況となっているとお聞きいたしております。
次に、事務事業評価表について、どのように改善をしたのか、またさらに進んだ評価手法の実現についてどのように考えているのかといったお尋ねでございます。
本市におきましては、平成13年度から事務事業評価の取り組みを進めてまいりましたが、今年度におきましては、課単位でおのおのの組織目標を設定するとともに、事務事業の課題とその対応策の洗い出しを行いながら、各課で実施いたしております事務事業を相対的に評価する手法へと転換し、改善を図ったところでございます。
今後は、改善した帳票を活用いたしまして、予算との連動を図りつつ、事務事業を束ねる政策・施策評価への移行に向けてさらなる検討を行ってまいる考えでございます。
次に、再び財政危機に至ったのは行政内部の見直しが不十分であったからではないのかという点についてでございます。
これまで、経営再建プログラムや"あまがさき"行財政構造改革推進プランにおきまして、厳しい財政状況のもと、職員定数や給与構造の見直しなど人件費の抑制を中心とした行政内部の管理経費の見直しに取り組んでまいりました。
そうした中、経営再建プログラムの策定時の平成14年度におきまして、経常収支比率のうち40%を超えていた人件費率は、平成20年度決算におきましては30%を下回り、一般財源ベースの人件費総額で約136億円の減少となっております。
しかしながら、実質的な収支均衡を確保していくためにはまだまだ道は険しいところでございまして、さらに人件費を中心とする内部経費の見直しに取り組むとともに、不要不急の事務事業の総点検を行うなど、財政健全化に向けた強力な取り組みが必要不可欠であると考えております。
次に、予算編成における以前の枠配分方式の評価、そして内部意識と内部事業の改革についての指針を示す必要があるか、こういったことについてのお尋ねでございます。
平成17年度から19年度の3年間に実施いたしました枠配分の予算編成につきましては、各局による自主的な工夫によりまして経常経費約22億円の削減を行い、構造改善として一定の成果を得たものと認識をいたしております。
しかしながら、昨年からの経済不況の影響によりまして、これまでの構造改善の取り組み効果額以上の収支不足が見込まれる状況を踏まえまして、ことしの7月に平成22年度の市政推進に向けた調整方針を庁内に発信いたしまして、歳入の一般財源に見合った事業規模への縮小を基本といたしました歳入歳出両面での改革改善項目の追加的な取り組みを各局と調整しているところでございます。
また、内部意識の改革といたしましては、経営推進会議や総務課長会などを通じまして、現在、本市が置かれております財政状況などを職員に周知するとともに、収支悪化の要因や取り組むべき課題についての職員研修を実施するなど、あらゆる機会を通じて情報の共有化を図り、職員の意識の改革を促しているところでございます。
次に、市税に関しまして、税の滞納者からの徴収について、現在どのような課題を抱えており、その課題解決に向けてどのような改善を考えているのかというお尋ねでございます。
市税の現年課税分の収入率は、平成20年度決算におきまして97.6%でございまして、前年度と同率でございます。行財政構造計画推進プランに掲げました数値目標である98.0%を達成することができませんでした。その原因につきましては、滞納者が約600人ふえるなど、昨年秋以降の景気の低迷の影響を受けたものであると分析をいたしております。
収入率の向上につきましては、昨年4月からコンビニ収納を本格実施し、納税機会の拡大を図り、また8月には納税催告センターを設置いたしまして、滞納事案に対する早期着手の取り組みを充実、強化したところでございます。
また一方、滞納繰越分の対策といたしまして、預貯金等の債権に係る滞納処分をより積極的に取り組みますほか、高額で処理困難な事案に対して、これまで以上に厳しい姿勢で滞納整理に取り組んでまいる考えでございます。
次に、財政健全化と行財政構造改革を実行しながら、将来の理想の都市像と思われる御提案がございましたが、産業・文化環境都市の形成を推進すべきと思うが、どのように考えているのかという御質問でございます。
今日のように、社会経済情勢が短期間で大きく変動し、予断を許さない状況にあります。本市におきましても、大幅な収支の乖離が見込まれる中にありまして、中長期的な計画に基づきましてまちづくりを進めていくことは非常に困難でございます。
こうした情勢を踏まえますと、総合計画に描くまちづくりを実現していくためには、議員御指摘のとおり、行財政基盤の確立に向け、間断なく行財政改革に取り組み、計画に基づく施策の実施に必要な財源を生み出していくことが非常に重要な課題になると考えております。
先般設置いたしました総合計画審議会におきましては、こうした行財政改革との整合も含め、まずは総合計画をどのようなものにするべきかといったあり方から御審議をいただくことといたしております。
また、御質問の中で、目指すべき都市像として産業・文化環境都市という御提案をいただきましたが、高度なものづくり技術をはぐくんできた産業、地域の資源である歴史・文化、そして市民、事業者、行政のたゆまぬ努力で改善してきた環境、こういった本市の持つすぐれた点は、将来のまちの姿を考える上で欠くことのできない大切な要素であると認識をいたしております。
今後、この審議会におきまして、総合計画のあり方の検討の後に計画の具体化を図る段階においては、こうした本市の特性を踏まえながら将来のまちの姿を論議していただきたいと考えております。
最後に、外郭団体の活性化に向けての取り組みについてを予算編成方針に示すことをどのように考えているのかと、こういった御質問でございます。
地方公共団体の財政の健全化に関する法律の施行に伴いまして、地方公共団体は、一般会計のみならず、第三セクターや損失補償等の財政援助を行っている法人なども含めまして、財政状況を分析した上で、健全化判断比率の一つである将来負担比率の適切な抑制に取り組んでいくことが必要となりました。
こうした中で、外郭団体におきましては、民間事業者との競合や昨今の経済不況等により、市と同様厳しい経営状況下にございます。今後、外郭団体のさらなる経営改善や存廃も含めた抜本的な改革に取り組んでいく必要があると考えております。
議員から、外郭団体の活性化に向けた具体的な方策をお示しいただきましたが、外郭団体みずからが主体的に改革を進め、自主事業による財源の確保などを行い、経営改善に取り組んでいくことは申すまでもないことでございます。
本市といたしましても、調整方針の中で改革改善の視点の一つとして外郭団体の取り組みについてお示ししているところでございまして、今後、予算編成の課程において、外郭団体とともに考えながら、団体の改革、活性化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
◎健康福祉局長(山本博久君) 生活保護受給者に対する適正保護に関しての課題と改善策についての御質問でございます。
本年4月に、査察指導員1人、ケースワーカー4人、就労促進相談員6人を増員するなど、適正保護に向けて体制の整備を図ったところでございます。そういった中、保護開始時の調査や支給決定を慎重に行うとともに、開始時や訪問時に被保護者の状況に応じた助言指導を行うなど適正保護に努めております。また、被保護者への就労支援を行うことで就労に導くなどの自立助長も図っているところでございます。
しかしながら、昨年末以来の経済不況により、失職等による生活相談が急激に増加し、生活保護受給者数も大幅に増加していることから、さらなる体制整備について関係局と協議しているところでございます。
以上でございます。
◎産業経済局長(芝俊一君) 産業を活性化し、就労人口を増加させるための施策に総合的に取り組むことが今求められていると思うがどうかというお尋ねでございます。
本市は、製造業を中心に発展してきた産業都市であり、本市の産業活力を維持向上させていくためには、ものづくりを中心に多様な産業集積を生かした地域産業活力の創出を図っていくことが重要であると考えております。
本市におきましては、これまで産業の活性化に向けてベンチャーなどの企業支援やものづくり支援センターにおける技術支援、さらには販路拡大など、産業関係団体とも連携しながらさまざまな中小企業支援策に取り組んでまいりました。また、企業立地促進制度を設け、積極的な新たな産業活力の導入を図ってきたところでございます。
今後におきましても、産業を活性化し、多様な雇用を創出していくため、引き続き技術支援による製品の高付加価値化や、さらには低炭素社会の実現に向けた新たな分野への取り組みなど、その時代に合った産業支援策に取り組んでまいりたいと考えております。
- 質問要項(2)
- ここでは、小学校、中学校における学力向上についての取り組みについてお尋ねいたします。
日本は、資源がないため、資源を購入し、技術を駆使して付加価値を上げて商品をつくり上げ、初めて豊かな経済活動を進めていける国であります。そのような日本の国を支える人を育てることが最も大切であります。そのために、知識を持ち、技術を身につけ、さらに高いレベルへ向上する志を持つ人を育てることが必須のこととなります。
尼崎市の公教育も、このことを目指すことを目的としなければなりません。尼崎市の義務教育の現状はどうでしょうか。
平成16年度から始められた学力・生活実態調査によって、日ごろの生活習慣、さらには小学校、中学校の学力についての全国の対比などが明らかに示されました。その結果、尼崎市の公教育、特に義務教育について大きな問題が提起され、家庭において、学校において、何に取り組まなければならないかが明らかになりました。
この調査を行うこと自体を反対する人々は、過度の競争をあおると言っていますが、この調査によって多くの取り組まなければならないことを明確に教えてくれたのではないでしょうか。
そこでお尋ねいたします。
生活習慣について問題点が明らかになったとき、学校、本人、家庭に対して教育委員会はどのような対応をしてきたのでしょうか。そして、その結果、現在は学校全体としてどのように改善されてきたのでしょうか。小学校、中学校それぞれに分けてお答えください。
次に、学力についてでありますが、調査当初は小学校、中学校ともに学力は全国平均以下でした。小学校において、その後の学力向上策を講じた結果、成果があり、全国平均近くになり、中には平均を超えるところも出ている現状であります。
以前、小学校、中学校の各学年とも、主要科目でカリキュラムに沿ったドリルを各100枚作成し、基本の定着や弱点を反復することによって克服することを提案しましたが、今実施されているのは小学校での漢字と計算のスキルドリルです。取り組まないよりはよいですが、まだ満足できないと思っております。
そこでお尋ねいたします。
学力向上こそは教育指導の目指すところと思いますが、小学校における学力向上がなぜ今の漢字と計算のスキルドリルになったかを改めてお聞かせください。また、現在の向上策をさらに積極的に取り組む必要があると思いますが、私のこれまで提案した内容を含めて、今後どのように取り組まれるかをお答えください。
次に、ある例ですが、小学校で平成16年の学力・生活実態調査を受け、初年度は学力向上に努力し、取り組むことを口頭で繰り返ししただけで、その結果、学力は向上しませんでした。その後、学校内で独自に生活実態調査を行い、改めて学力向上の取り組みを本格的にすることを教職員に提案しましたが、反対者があり、すぐに実現できませんでした。その後、教師の本分と他より優遇されている諸事情を議論する中で、協力し、了解される中で、学校一丸となった学力向上策が可能となりました。そしてその後、教育委員会からのがんばりノートを勉強の仕方の基本として生徒に示し、先生方の協力を得て進めることができたと言われていました。
この例を聞きますと、小学校において、学力実態調査を、尼崎市の取り組みだけでなく、自校で独自に調査、生徒の実態を知り、さらに目的と具体的な授業の取り組みを実施することによって、口約束だけでは得られなかった生徒の学力の実績が生まれたのであります。小学校においても、学校全体でどう取り組むかが大切であることが結果を見ても明らかであります。
そこでお尋ねいたします。
やはり、教職員みずからが進んで取り組むことこそ本来の意味があり、教材を生かすのも教職員の取り組み次第であります。小学校において、それぞれの問題点を改善する方法で、学校ごとに一丸となって取り組むことを教育委員会が協力を惜しまないようにしていただきたいのですが、学校への支援をどのようにお考えかお聞かせください。
次に、中学校の学力向上についてお尋ねしてまいります。
中学校の学力・生活実態調査については、全国平均にもかなり差があり、学年が上がるごと、思考力、判断力、表現力が低下するという現状が明らかになりました。
中学校の学力については、小学校との違いが論じられます。学級担任が教科を教える小学校と、中学校では教科担任制の違いがあり、また中学受験で私学へ進学という現状のため学力向上の取り組みが難しいとよく言われます。しかし、教科担任制や中学受験で私学へ行くことについては、尼崎市だけでなく他都市でも同様であります。尼崎市だけの問題でありませんので、言いわけにすぎません。
学力・生活実態調査の結果からも、学力向上策に取り組む必要はあります。これまでも、尼崎市は中学校の学力向上のため、いろいろな取り組み授業を行っております。学力・生活実態調査は当然のことでありますが、中学校基礎学力向上プロジェクト事業、授業改善アドバイザー事業、土曜チャレンジスクール授業、中学校区学力向上推進モデル事業があり、また教員の研究会として一斉教科研究会などが学力向上事業として行われています。このように、今、学力・生活実態調査事業を除いて、学力向上事業としていろいろな事業が尼崎市の中学校で行われています。
しかし、中学校の学力は依然として改善されていません。今、行われているいろいろな取り組みは、しないよりはよいですが、生徒たちの学習意欲が低下しているから学力が向上しないということであります。
学力向上には、今行われている事業改善や小中連携も大切ですが、最も重視しなければならないのは、生徒指導と学校一丸となった運営、経営に取り組むことこそが最も早く生徒自身の学習意欲を高め、学力が向上していく近道と思います。それは、学習意欲が失われている原因を、学級、学年、学校全体で一つ一つ解消することに取り組むことが正しい道であるということがわかってくるはずでありますし、そこに流れている考え方を実行することが大切だと思います。
健全な学級、学年、学校運営をせず、授業改善だけの方法では、学習意欲を失っている生徒を切り捨てることになります。また、それは授業についてこられない生徒に授業を合わすのでもありません。学校一丸となって、学習意欲の向上、そして学力向上に向けるため、いろいろな問題を克服することは、プロとしての仕事であるという考え方が生まれてくると思います。プロとしての教職員の志と技術を持ち、役割を明確にすることが第一歩であると思います。
そして、生徒の学習意欲が向上し、ひいては学力が向上するのですが、学校運営のポイントとして7つあります。1つ、生徒を荒れさせない、2つ、生徒を力づける指導集団をつくる、3つ、チーム力を大切にする学校運営、4つ、実行中心の積極的な学校文化、5つ、外部と連携する学校づくり、6つ、基礎学力定着のための目的、目標、方法のシステムづくり、7つ、一丸となる運営のリーダーとリーダーシップなどが必要とされています。
日常いろいろな問題が生じてきますが、その構造や考え方は、教職員はもちろん、生徒におきましても基本的な考え方を定着させていく指導が大切であります。
中学生は、学力、部活動、友人関係、家庭、生活習慣などが生徒の日常の行動となっています。学習意欲を向上させるために、学校全体が一丸となって、個々の問題について、将来社会人として、大人になる前に学校で学ぶものとして、学年、学級、そして個人として意欲の出てこない動機、考え方についての照合をし、基本的な考え方を示し、意欲向上への導きをすることが大切であります。
また、その目的のために、目標を短期、中期、長期という段階を設定して、意識や学力を上げることの計画性も指導することは持っておかなければなりません。
そこでお尋ねします。
いろいろと述べましたが、尼崎市は今取り組んでいる小中連携や授業改善等の事業が行われていますが、悪いことではありませんが、本当に生徒の学習意欲と学力が目に見えて結果が生じてくるのではなく、学校一丸となって目的、目標、方法などを形成し、学校現場が中心となっていろいろな問題を克服し、継続して可能な取り組みを地域、家庭、生徒、そして学校が協力、連携する学校運営を行い、教育委員会が摘出した学校のみでなく、中学校全体で取り組む施策、事業を私は提案します。私の提案も含め、中学校の学力向上を今どのように取り組む考えかをお聞かせください。
また、入学段階から卒業、進学、就職等、社会人や学生として生きるための意欲向上等段階的な目標のアドバイス、方法の指導、相談も早期から行っていく学校運営をお願いしますが、そのことについて、教育委員会としてはどのようにお考えになっておられるかもお聞かせください。
- 答弁要項
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◎教育長(村山保夫君)
それでは、学力向上に関連するお尋ねに順次お答えしてまいりたいと思います。
まず、学力・生活実態調査によって生活習慣について問題点が明らかになったとき、学校、本人、家庭に対して教育委員会はどのような対応をしてきたのか、その結果、学校全体としてはどのように改善されてきたのかというお尋ねでございます。
教育委員会では、学力・生活実態調査において、生活習慣と学力の関係について分析し、生活習慣の改善が学力向上につながることを学校に示すとともに、啓発紙を通して家庭に理解と協力を得られるようにしているところでございます。
小学校のうちに規則正しい生活習慣を身につけることが重要でございますので、小学校では「早寝早起き朝ごはん」のように、生活習慣の見直しを担任や養護教諭が指導しており、例えば午前7時30分以降の起床は減る傾向が見られます。
中学校におきましても、担任を中心に指導がなされておりますが、生活習慣の向上までには至っておらず、家庭学習についても、積極的に家庭に協力を求めて取り組んでいますが、データ上といいますか、数値上、顕著な改善を確認することはできておりません。
今後とも、学力・生活実態調査を活用し、各種取り組みを評価しながら、一層生活習慣の改善に向けた取り組みを行ってまいります。
次に、小学校における学力向上が漢字と計算のスキルドリルになったのはなぜか、また今後どのように取り組むのかというお尋ねでございます。
個別ドリルシステムは、算数と国語のカリキュラムに沿った内容から基礎的な計算と漢字の読み書きの問題を抽出し、基礎の定着や弱点を反復することにより個々の習熟度の向上を図るために作成したものでございまして、小学校のみならず、中学校においても活用ができます。
現在、小学校外国語活動において、外国語の音声や基本的な表現になれ親しませながらコミュニケーション能力を身につけさせることに反復学習が有効なことから、本システム拡充に順次取り組んでいるところでございます。
また、理科や社会の学習など知識理解の定着を図るために、各学校におきましては小テスト等の活用を行っているところでございます。
今後とも有効な学習方法の検討に努めてまいります。
続きまして、学力向上に一丸となって取り組む学校への支援をどのように考えているのかというお尋ねでございます。
小学校におきましては、学力向上担当を中心に全教職員が組織的に共同し、自己の課題を明らかにする中で、学力向上の取り組みを積極的に行っているところでございます。
教育委員会としましては、学力向上について、学校関係者を初め学識経験者や保護者の代表を含めた学力向上推進委員会において、施策の展開や指導方法の改善の協議、検討に努めております。
今後につきましては、より個々の学校の課題に応じて対応できるように支援するとともに、共通して取り組まなければならない課題につきましては、成果を上げている学校の取り組み等を校長会や学力向上担当者会で広く情報を提供いたしまして、一層の活性化を図ってまいります。さらに、学力向上に向けて意欲的に取り組む学校に対して、よりきめ細やかな支援を行い、学校全体のレベルアップに努めてまいります。
続きまして、地域、家庭、学校が協力、連携するなど、中学校で行う学力向上に今後どのように取り組むのかというお尋ねでございます。
学校、保護者、地域との連携は、学校にとって大変重要だと考えております。これまで、学校行事などにより地域とのつながりを深めてまいりましたが、今後は学校評価の取り組みを定着させ、明らかになった成果や課題を公表することで保護者や地域の理解を求め、地域や家庭、学校の共通理解の基盤としたいと考えております。こうした共通理解の上に立って学力向上に努めなければなりません。
とりわけ中学校の学力向上につきましては、特に家庭との連携が大切であると考えております。本市の生活実態調査で、中学校3年生の3割以上はふだんの家庭学習が30分未満であるという結果が出ており、中学校の学力向上の取り組みとして家庭学習の定着が必要だと考えております。
したがいまして、家庭の理解や協力を得まして、当然のことながら学校が確かな学校力、経営力を持ちまして学力向上の課題に適切に対応できるように、教育委員会といたしましても各学校の取り組みを支援してまいります。
最後に、中学校の入学時から社会人として生きていくための段階的な目標設定や指導が大切だと思うがどうかというお尋ねでございます。
子供たちが、将来に夢と希望を描き、それに向かって個性と能力を発揮し、主体的に自分の未来を切り開いていく力を育成するための目標設定や指導は重要なことでございます。
中学校では、学校教育目標を定めるとともに、目指す生徒像を設定しており、その目標と生徒像に向けて、生徒の発達段階に応じた教育計画を策定しております。また、個々の生徒に対しましても、進路指導や教育相談において、将来に向けたきめ細やかな指導、相談を行うとともに、体験活動を通して一人一人の勤労観、職業観を育てる取り組みが重要であると考えております。
今後とも、教育委員会におきましては、このような取り組みをさらに充実させ、生徒が社会人として生きていくための力を育成してまいりたいと考えております。