議会活動

平成27年 質問・答弁

質問内容(1)
おはようございます。新政会の波多正文でございます。第15回尼崎市議会定例会に当たりまして、新政会を代表いたしまして、平成28年度予算案並びにそれに関する諸議案に対しまして代表質疑を行ってまいります。先輩並びに同僚議員の皆さんにおかれましては、しばらくの間、御清聴いただきますようお願い申し上げます。  また、稲村市長を初めとする当局の皆さんにおかれましては、私の意のあるところをお酌み取りいただきまして、明確な御答弁をよろしくお願いいたします。  ことし平成28年、2016年は、大正5年、1916年から数えて市政100周年に当たります。今日の尼崎市は、戦前、戦中、戦後を、時代が大きく変遷する中で、幾多の先人のたゆみない努力によって多くの試練を乗り越えてきた結果であります。このことを今に生きる私たち一人一人が決して忘れてはならないことだと思います。  稲村市長も、さきの施政方針で、これまでの歩みを学び、先人たちの感謝とともに次の100年に向かって新たなスタートを切る年であります。このような歴史的な節目の年に市長として市政を担うことに感謝と喜びを感じるとともに、みずからの責任の重さを改めて感じていますと述べられました。極めて適切な表現であり、その姿勢は大いに評価したいと思います。  さて、この重要で意義深い平成28年度の予算であります。市長は、柱が100周年関連事業、2回目の施策評価の結果に基づき、また昨年10月に策定した尼崎版総合戦略を踏まえて、1、教育・子育て、2、安全・安心のまちづくり、3、市民自治のまちづくりを重点項目として、さらに依然として厳しい財政状況の中、健全な行財政運営推進についても力を注いでいると述べられていました。  平成28年度当初予算規模は、一般会計で2,081億円で過去2番目、総額は3,989億6,800万円で、収支不足は56億7,000万円で、59億円の財源対策となっています。尼崎の現在の方向を示すいわゆる羅針盤としては、平成25年から34年の「ひと咲き まち咲き あまがさき」のキャッチフレーズのもとに4つのありたいまちを示した尼崎総合計画、同じく平成25年から34年の持続可能な行財政基盤の確立に向けた都市の体質転換を図る「あまがさき「未来へつなぐ」プロジェクト」、さらに平成25年から60年の35年間の計画であるファシリティーマネジメントとして、企業会計を除く公共施設の30%以上を削減する計画により進められています。  こうした中で、ファシリティーマネジメント計画を除く総合計画及び行革計画がスタートした平成25年度は、経済の地域内循環、地域の課題解決に向けた取り組みとシティープロモーションの推進が車の両輪で4つのありたいまちの取り組みのもとに推進が図られましたが、引き続き財源対策を講じなければならない状態であり、平成27年度は改革の第2ステージとして量から質の転換のもとに進められることとされました。しかし、依然として残り52億円の財源対策がありました。  また、本腰を入れるために予算編成に当たって施策評価が導入され、P、計画、D、実行、C、評価、A、改善、施策ごとに枠を設定し、自主性を基本に再構築され、4つのありたいまちの取り組みと市政100周年に向けての市民自治、まち大学尼崎、条例制定に向けての懇話会なども示されていました。  また、平成27年10月に課題解決先進都市を目指すと策定されたのが尼崎版総合戦略で、12月には平成15年から行われている事務事業評価が公表されました。このような積み重ねを経て、ことし市政100周年を迎えます。ちなみに全国自治体ランキング、尼崎が突出しているのは、住民1人当たりの生活保護費、全国14位、兵庫県県内1位、財政力指数は、尼崎市は256位、芦屋市は152位、西宮市、宝塚市は202位、伊丹市は228位、姫路市は244位でした。尼崎の将来市債残高は類似都市の3.7倍で、ランキングの項目はありませんでした。  一方で、都市のバロメーターとなる人口問題、人口転出超過自治体では、平成26年は驚きの8位で尼崎市が記載されていました。ちなみに1位は北九州市で、以下、日立市、東大阪市、豊田市、長崎市、佐世保市、沼津市、そして尼崎の順でした。逆に転入超過自治団体は、1位、札幌市、以下、福岡市、川崎市、大田区、さいたま市、横浜市、名古屋市と続きます。やはり仕事があり便利なまちで、なおかつ魅力のあるまちが転入者が多い自治体になっているように思います。ありたいまち、同時に持続可能な行財政基盤の確立を目指す都市の体質を転換するためには、以前の大きい借財を解消しながら、若者が流入する魅力あるありたいまちに稲村市長は収支均衡を目指しながら方向づけなければなりません。  市長は、まちづくりにシティープロモーション、シビックプライド等や公共施設の再編であるファシリティーマネジメントと響きのよい横文字を並べておられます。都市の体質転換は必須ですが、具体的な事業の中身にその精神が入っているかは疑問に感じざるを得ません。予算編成方針は市長だけが提出できるものであります。つまり、予算は市長のみに与えられた権限です。  そこで、お尋ねいたします。  市長は、平成28年度に向けて予算編成に当たっては厳しい財政状況の中で市長が言われる市政100周年、101年以降のまちづくりを進めるに当たって、ありたいまち、都市の体質転換、持続可能な行財政基盤の確立に向けてという行政目的を踏まえた中で、みずからどう評価されていますか、お答えください。先ほど申し上げた行革と関連する話ですが、土地開発公社債務問題、つまり塩漬けの土地について、以前の市長が残した債務で、市長には気の毒な負の遺産です。  また、稲村市長は今回の城内の土地を100周年記念行事として整備するのを機に、放っておけばますます膨らむものを英断で買い取り、未来の子どもたちや孫にツケを回さないことを実行されたのは評価いたしたいと思います。また、尼崎市にお世話になったと、苦労して得た財産をぽんと寄附する人がおられ、その人こそシビックプライドを持った人だと思いました。  少し話は脱線しましたが、私に言わせれば債務処理に予期せぬ善意が加わった城内地域の整備となりました。歴史の重みを感じ、未来に向けての財産としての次の時代に受け継ぐ100周年の中心事業ですが、市長の思いをお聞かせください。  質疑を財政問題に戻します。  市長の収支均衡で健全な財政基盤を目指すことについてお尋ねいたします。  平成28年度の実質収支不足は56億7,000万円です。長年、収支均衡のため行財政改革の取り組みが行われているところでありますが、歳入の落ち込みは少なくなってきましたが、歳出は依然として民生費は増でありますが、総務費は自動車運送事業の民営化による退職手当や本庁舎耐震化による増であり、土木費は先ほど申しました土地開発公社の塩漬け土地の買い戻しにより増となります。行革をする中で、必ず出てくる支出に対して基金を積み立てておかなければならないのは当然であります。その意味で、稲村市長が予算編成においてどのような指示を出したのかが重要であります。  そこで、お尋ねいたします。  総合計画と「未来へつなぐ」プロジェクトや事務事業評価、施策評価、そしてファシリティーマネジメント、また尼崎市の現状と課題解決を踏まえて、予算編成においてどのような指示を出されましたか、お答えください。また具体的に収支均衡について、また都市の体質転換についてファシリティーマネジメント、心の根幹を形成するシビックプライドを高めていくことについてどう施策に反映したのか。事務事業評価、施策評価を正しく機能させて行われた結果の予算編成であれば、都市の体質転換やファシリティーマネジメント、シビックプライドについては、平成28年度の予算案で以前と比べてどの程度進んでいくとお考えなのかをお答えください。  次に、私自身が率直に感じましたことは、依然として厳しい行財政構造の中で職員の給与をどうするか、職員の配置をどうするかということです。給与をカットするばかりでは職員のモチベーションも上がりません。給与と人的配置を確保することが大切なのは当たり前ですが、公で市民の願いをかなえることが一番ではないかと思います。一定の職員数、当然、適切なものを確保しなければなりません。そのためには収支均衡で健全な行財政の基盤を確立しながら、ありたいまちに一歩でも早く到達しようとする職員の活気、やる気、元気をもって政策、施策を遂行しなければなりません。大変難しい取り組みです。  そこで、お尋ねいたします。  職員のモチベーションアップを踏まえつつ、来年度の職員定数と組織機構の考え方、そして意図をお聞かせください。  入るをはかりて出るをなす、つまり収入の額に応じて支出をする、足らなければ収入を多くする工夫をすることです。当たり前のことです。現在の尼崎市は義務的経費が多く、財政は硬直していて、なお行革を進め、ありたいまちを常に目指さなければなりません。  平成28年度予算編成に当たっては、内部管理事業を含む約1,000事業中、裁量が働かない経費を除いた残りの裁量が働く経費のみに3%カットのシーリングで捻出されたのが約1億7,500万円との説明を受けました。この捻出された予算を重点化施策に充当されたのが、1つ、教育・子育て約4,900万円、2つ、安全・安心のまちづくり約500万円、3つ、市民自治のまちづくり約400万円、さらに市政100周年記念事業が約8,200万円、それぞれ積み上げられました。これは裁量が働く経費という、極めて限られた中での3%カットのシーリングであります。尼崎市、現状の課題解決を促進したいと思われるなら、もっと大胆に行財政改革を進めていただきたく思います。  そこで、お尋ねいたします。  市長の予算編成での財源捻出の方法は最大限行われたと思いますか、その理由もお答えください。  私はもう少し捻出する手だてを工夫して、早く子やひ孫、そして尼崎のシビックプライドを持つ人を多く育てるためにも、英知と努力を尽くしていただきたいと思います。例えば、公共施設マネジメントの改修更新等、基本方針が定められていますが、平成60年までに30%以上削減しなければならず、現在1万戸を超える市営住宅は7,000戸にしなければならず、削減どころか建てかえ優先であります。  そこで、お尋ねいたします。  7,000戸にどうするかを策定し、廃止を先行しながら建てかえを最低限に行い、7,000戸ぐらいに方向づけていけば維持管理費、人件費、投資的経費の無駄遣いが削減され、多くの歳出が食いとめられ、債務を返すか基金やありたいまちに投入する他の資金が捻出されると思いますが、どのように思われますか、お答えください。  また、生活保護費は国の負担が4分の3ですが、尼崎の人口1人当たりの保護費は全国ランキングで14位であります。本当に困っている人は、当然支給されるべきです。しかし、不正や他都市よりも基準が緩いとかお手盛りなどがあれば、苦しくてもしっかりと納税している人に不公平感を生じさせ、シビックプライド育成にも支障を来しますから、厳正に対処すべきと思います。  また、聞き取りの際は本人のみで、関係ない第三者の付き添いはなしで、必要で適切な資料により行うことが本当のことが聞けると思います。  そこで、お尋ねいたします。  (仮称)保健福祉センター整備事業が平成28年度予算に計上されており、その中で福祉事務所の体制も改めて整理されることになると思いますが、どのように検討が進んでいるのでしょうか。私が指摘した生活保護行政の問題点も踏まえてお答えください。  次に、事務事業評価、施策評価についてお尋ねいたします。  平成13年から事務事業評価が導入されました。その評価は事務事業の成果を客観的な指標で尼崎市のものは市内部での自己評価であり、議員や外部の評価ではありません。また、施策評価は平成26年度に平成25年度決算、平成27年度に平成26年度の決算で2回行われています。この目的は、1つ、総合評価の進捗、2つ、職員意識の共有、3つ、効果・効率の推進、4つ、市民の市政参加の推進と示してあります。対象は20施策と56展開方向で、評価方法は市民意識調査、1次内部評価、2次内部評価、これは担当局の自己評価説明による市長査定のことです。  評価項目は、1つ、市民意識の重要・満足度、1つ、目標指数の推移、1つ、取り組みの成果であります。この事務事業評価と施策評価の2つの評価結果の提出は、施策評価が平成27年8月、事務事業評価が平成28年2月でした。  そこで、お尋ねいたします。  本来なら事務事業評価が施策評価の前に提出され、施策評価がそのすぐ後に8月ごろに提出されれば、9月の決算時に多大な役割を果たし、次年度の予算に収支健全と事業の適正化を明確に提言、要望することが可能となるはずです。しかし現在、決算時に事務事業評価が提出されていない中では、決算審査が適切に行えず、新年度予算への提言、要望ができないと私は考えます。市長は現在の決算審査のあり方についてどのようにお考えでしょうか。平成28年度はどうされるのかもお答えください。  少し話はそれますが、全国学力・学習状況調査の評価がありません。国の事業なので報告書だけですとのことです。他自治体の報告書と深度に違いがあるので、この調査の結果をどのように受けとめておられるのかがわかりません。この結果に対し、教育委員会はどのような評価をしているのでしょうか。また、結果を踏まえてどのような姿勢で教育行政に臨もうとされているのでしょうか。あわせて御答弁をお願いいたします。  次に、P、企画立案、D、事業実施、C、点検、A、改革・改善行動についてお尋ねいたします。  総合計画や総合戦略において、それぞれの尼崎市の現在の状況の確かな資料が掲載され、課題が抽出されており、施策評価表には市民意識の重要度、満足度が右側のページに記載されています。この尼崎市の現状と市民意識調査は、毎年無作為で多くの人によってカバーリングできる資料作成であり、現状と課題把握に必須な基本資料ですから、予算がかかっても今後とも行ってください。不特定多数の市民投票よりも、シビックプライドの醸成には高い価値があります。また、市民の尼崎のまちづくりの参加についても多ければ正しいとは限らなく、人は楽や自分だけの利益に走りやすいので、魅力あるまちをつくりたいという意識を持っているか、醸成していこうとする点を重点的に意見を聴取すべきだと思います。  そこで、お尋ねいたします。  尼崎のPDCAの流れは、市民参加や今はやりで耳ざわりのよい市民自治基本条例に基づいて行おうとしているように思われますが、市民から選出された議会のPDCAの役割を曖昧にしており、さらに議論を深めていく必要があると思います。この点についていかがお考えでしょうか、御答弁をお願いいたします。  市長は行政の権能を発揮されているとは思いますが、議会の意見をもっと聞いてほしいという思いもあります。議会との両輪関係を構築しやすくする、そのためには政策の企画・立案、事業実施・点検、改革・改善行動などの情報を細かく、迅速で丁寧に提出するといった行政の姿勢がまだまだ不十分だとは思いますが、いかがお考えでしょうか、お答えください。  次に、PDCAサイクルの中でもCAが特に適切にされているとは思いません。また、PDCAサイクルを回す前段階が大切です。1つ、現状を問い、2つ、期待する未来を設定し、3つ、実現方法を考え、4つ、実行する。その実行の中にはP、計画、D、実施、C、点検、A、改善。1、そして計画どおりに実行できたか、2つ、計画は正しかったか、3つ、方法・手段の選択は適切だったか、4、目標設定は間違っていなかったか、5、最初の発案、出発点はよかったのかと反復することによって精度が増し、適切化に磨きが高まり、健全化のまちづくりに加速が進みます。  そこで、お尋ねいたします。  市長は、現在の評価制度を通してPDCAが適切に行われると思っていますか、お答えください。特に課題解決先進都市と宣言されていますが、最初の課題摘出は間違っていなかったのか、目標設定に誤りはなかったのか、方法、事業手段の選択は適切だったのかという立案の導き方について、課題解決に向けてサービスを受ける人と財源を負担している人をしっかり頭に入れて立案されているのか疑問に思えてなりません。それも、内部のみの評価で外部の評価はされていません。精度を高めるために一層の工夫が必要だと思います。さらに精度を高めていくためにどうお考えでしょうか。現在の評価とあわせてお答えください。  次に、課題解決の目標と施策方向、そして実施事業に誤りがないか、その適切性の精度を高めるためにお尋ねいたします。  今、行政が意見や事業を集約していくに際して、ボトムアップにより行っていますが、この方式ですと方向性にそごが生じ、政策のビジョンに外れるものが生じ、ありたいまちから遠ざかる結果になります。よって、ビジョンの方向づけを曲げないためにも、ボトムダウンにより、つまりビジョン、長期、中期、短期と年次計画を落としながらビジョンに合致したものを部局で計画・立案しながら実施事業の課題とビジョンに食い違いがないように作成することが、課題解決先進都市と名実ともに行政活動を行う自治体になると思いますが、今、尼崎市はそうなっているのでしょうか。  そこで、お尋ねいたします。  実施事業の課題とビジョンに食い違いがないように、年次計画は作成されているのでしょうか。もし十分でなかったら、どこをどうすればよいとお考えなのでしょうか、お答えください。  1問目の最後に、シビックプライドについてお尋ねしてまいります。  人間はお金は必要ですが、お金だけで行動しているのではありません。心が行動を生じさせます。「志念は業を生じさせる」と仏教では言います。まちづくりにとってよい心を、シビックプライドと言えると思います。シビックプライドとは、一人一人が抱く都市への誇りと愛着と思います。自分自身が都市を構成する一員という当事者意識を持って、まちをよりよいまちにするという心を持ってかかわることであります。この心は単なる自分自身の欲心を満たすためのことではなく、私を小さく公を大きくして行動することで、戦後の日本の民主主義、自由主義は考え方を履き違っている人が多くなり、私が大きくなり公が小さくなった人をよく見ます。公害とは公が出す害でなく公を無視した人が出す害のことで、何も企業だけでなく一人一人が公の場所にごみを捨てることも公害であり、公を無視した行為であります。そのために、当事者意識を持つことがシビックプライドには大変重要であります。  そこで、お尋ねいたします。  人には権利、義務の双方があります。これからは権利は大切ですが、権利を主張するだけでなく義務を積極的に遂行しようとする考え方が大切だと思います。自治体に自分は何が貢献できるか、その意味で尼崎市の財産はシビックプライドを持った人が多いまちですとなることを目標とされたのかと思いますが、いかがお考えでしょうか。また、それにはまず議員や行政職員がお手本を見せなければならないと思いますが、どのようにお考えでしょうか、あわせてお答え願います。私はそのように努力していきたいと思いますし、新政会の議員全て同じように思っています。このことを申し添えて第1問を終わります。
答弁要項
◎市長(稲村和美さん)  それでは、波多議員の代表質疑に対しまして順次お答えを申し上げます。  まず、予算編成の自己評価と指示した内容、また収支均衡や都市の体質転換などの施策への反映等についてのお尋ねに一括してお答えします。  28年度の予算編成に当たりましては、まずもって市制100周年を尼崎の魅力や取り組みを発信する上での大きなチャンスと捉え、市制100周年記念事業を積極的に進めること。総合計画のアクションプランとして策定した総合戦略を踏まえること。そして2回目となりました施策評価の結果に基づき、教育・子育て、安全・安心のまちづくり、市民自治のまちづくりの3点について重点化することを予算編成方針といたしました。あわせて、さらなる構造改革の推進や投資的事業の調整などによる将来負担の抑制など、持続可能な行財政基盤の確立に向けて引き続き積極的に取り組むよう指示しました。  その結果、28年度予算案では、学力向上などの教育・子育て、自転車総合政策などの安全・安心のまちづくり、自治基本条例制定に向けた取り組みなど市民自治のまちづくり、さらには多様な地域資源を生かした城内まちづくり事業を初めとする市制100周年記念事業を積極的に盛り込み、尼崎市の魅力や誇り、愛着の醸成を目指しております。  また、収支均衡やファシリティーマネジメントの取り組みにつきましては、新たに12億円の改革・改善項目を計上するとともに、支所・地区会館複合施設や旧梅香小学校敷地複合施設の整備に着手するなど、公共施設の再編に向けた取り組みを進めております。  議員御指摘の収支均衡、都市の体質転換、ファシリティーマネジメントやシビックプライドの醸成の取り組みが単年度でどの程度進むかについては評価が難しい面もありますが、後期まちづくり基本計画の策定とあまがさき「未来へつなぐ」プロジェクトの中間総括を並行して進めるとともに、今年度策定した総合戦略もあわせてその進捗や成果について評価できるよう工夫し、取り組みを加速させていきたいと考えています。28年度予算は、いわば未来へつなぐ100周年予算と言うべきものであり、100周年を次の飛躍に向けたチャンスとして強く意識しながら、持続可能な行財政基盤の確立とありたいまちの実現に向けて、改めての決意を込めた予算編成になったと考えております。  次に、城内地区整備事業についてのお尋ねです。  100年前、本市が誕生した城内地区には、尼崎城の遺構や本市行政施設だけでなく、産業の発展を支えてきた歴史的資産も多数残されており、大変貴重な地区となっております。本市は長らく厳しい財政状況からの再生に取り組んでおり、かつての計画をそのまま事業化することはできなくなりましたが、先行取得用地の買い戻しは依然として課題であったこと、そしてこれからも改革を継続していくための前向きな機運をつくっていくためにも、私は城内地区整備事業を次の100年を見据えた今日的なものとして再構築したいと考えてまいりました。  体力に見合った事業規模を前提に取り組んできましたところ、今般、尼崎城の御寄附というお話もいただきました。近接する都市美形成地域である寺町とともに歴史文化ゾーンとしてアピールし、さらには中央・三和・出屋敷商店街の活性化にもつなげていきたいと考えています。これまでも城内地区でのイベントなどに訪れた方の中には、歴史的建築物や文化財収蔵庫の展示を見て初めて尼崎市の深い歴史性を知ったという方も多く、多様な顔を持つ我がまちに多くの方に訪れていただくことが本市のプロモーションにつながるものと考えます。  また、このたびの御寄附によりまして、尼崎城は阪神尼崎駅のプラットフォームから見える位置に建設予定です。尼崎市の新たなシンボルに、また将来の市民にも引き継ぐことのできる尼崎市の誇るべき財産となるよう、シビックプライドの醸成につなげていくべく、城内地区の整備に取り組んでまいります。  次に、来年度の職員定数と組織の考え方についてのお尋ねです。  まちづくりにおいて市の職員は重要な担い手であり、限られた人的資源の中にあっても個々の職員がそれぞれの持つ能力を遺憾なく発揮し、その時々の行政課題へ的確に対応できるようにすることが大変重要です。これまでもそのような基本的な認識のもと、重点化施策等を着実に推進するため、組織改正や職員定数の配置に意を用いてまいりました。来年度におきましても、昨今の社会情勢の変化や法令改正等の内容、さらには社会的ニーズの増大等に的確に対応するべく、例えば職員定数につきましては、救急隊の増隊や子ども・子育て支援に係る増員など、また組織改正につきましては、危機管理安全局の新設や企画財政局内の改編を行うなど、必要な体制の整備を行うこととしております。  来年度は全庁的な業務プロセス分析にも取り組むこととしておりますが、今後とも社会情勢の変化などへの的確な対応はもとより、職員のモチベーションアップといった観点にも十分に意を用いてまいりたいと考えております。  次に、予算編成での財源捻出は最大限行われたのかとのお尋ねでございます。  平成28年度予算編成では、私が指示した改革・改善項目の検討とともに、各局みずからがスクラップ・アンド・ビルドを行いながら事業の再構築を行う枠配分予算制度を用いて、構造改善に資する取り組みを進めてまいりました。枠配分予算制度による各局単位での見直しにつきましては、例えば産業振興、雇用就労施策の再構築のように、施策評価において転換、調整と評価した施策の事務事業をより効果的、効率的に見直すなど、職員の意識改革も含め一定の成果が出つつあると考えております。今後も引き続き枠配分対象経費の拡大や各局の主体性に基づくより大胆な施策の再構築を進める手法などについて検討をしてまいります。また、直ちに大規模な効果額を見込めるような見直しは一巡しているからこそ、中長期的視点で全庁的に取り組むべき項目につきまして、引き続き私自身が先頭に立ち、行財政改革の取り組みをさらに推進してまいります。  次に、財源捻出のために市営住宅を7,000戸程度にしてはどうかとのお尋ねでございます。  市営住宅の建てかえにつきましては、昨年、市営住宅建替等基本計画の素案を作成し、今後20年間の市営住宅の建てかえや廃止を同時並行で行うこととしております。廃止予定住宅につきましては既に募集停止を行っており、将来の廃止に向けて入居戸数を減らし、一定数減らした段階で他の住宅に転居していただき、その後、速やかに廃止することとしております。また、建てかえ住宅についても建てかえ予定年度のおおむね10年前から募集停止を行い、入居戸数を一定数減らした上で、その時点の入居戸数のみを建てかえることにより、建てかえ戸数を減らしていきます。こうした取り組みにより、今後20年間でまずは15%の戸数を削減し、事業費の削減に努めてまいります。さらに建てかえに際しましては、集約化や高層化を図ることによって余剰地を創出し、これらを民間に売却することによって財源の確保にも努めてまいります。  次に、福祉事務所の体制に係る検討状況についてのお尋ねです。  生活保護の必要な方が増加している中で、福祉事務所の管理スパンも増大してきており、南北2カ所の(仮称)保健福祉センターの整備に合わせてそれぞれに福祉事務所を設置し、より身近な場所で相談、申請ができるようにするとともに、複合的な課題を抱えている方々に対しまして必要なサービスを総合的かつ適切に提供できるようにしてまいります。  また、生活保護制度の運用に当たりましては、引き続き国の指導監査のもと、法に基づいた公正な取り扱いや不正受給に対する厳正な対応を行っていくとともに、面接の際にはみずからの状況を伝えにくい方もおられますので、本人の同意を前提に付き添いの方と一緒にお話をお聞きするなど、市民お一人お一人に寄り添った自立支援に努めてまいります。  次に、決算審査のあり方とPDCAサイクルにおける議会の役割、また議会への情報提供についてのお尋ねに一括してお答えします。  本市では、平成25年度決算から施策評価を中心としたPDCAサイクルに基づく行政運営の仕組みを構築しています。この施策評価は、総合計画に基づく20の施策について、56の展開方向ごとに取り組みの成果や課題、進捗度などを点検、確認した上で今後の取り組み方針を明確にする、いわゆる決算評価で私も直接参加をする決算査定として実施をしております。  現在、事務事業評価につきましては、議員御指摘のとおり決算時までに公表できておりませんが、施策評価は施策に束ねた個々の事務事業の評価も踏まえて行っていることから、平成28年度からは事務事業評価も施策評価とあわせて公表できるよう準備を進め、充実を図りたいと考えております。  次に、PDCAサイクルの中での議会の役割でございますが、今年度は8月に施策評価結果の冊子を議員の皆様にお配りし、9月議会における26年度決算審議の中で多くの御指摘や御意見をいただきました。私どもが実施した施策評価を決算審議を通じて市議会の皆様より御指摘、御意見等をいただき、より効果的、効率的な施策の推進を図っていきたいと考えております。こうした一連の取り組みにつきましては、まだまだ改善すべき点があると思いますので、そうした点も含め、議会から御意見をいただき、決算重視の市政運営に努め、市政全体のPDCAサイクルを充実させていきたいと考えております。  議会への情報提供についてですが、施策評価を中心としたPDCAサイクルのそれぞれのプロセスや各種情報などを開示し、説明責任を果たしていくことが大変重要だと認識しております。今年度は、新規拡充事業等の調整状況につきまして、昨年度からの御指摘も踏まえ12月に公表し、パブリックコメントを実施いたしました。その最終案である主要事業につきましても、図表を使うなどできる限りわかりやすく工夫をしてお示しをしたところでございます。  来年度におきましては、より評価機能の充実を目指し、先ほど申し上げた事務事業評価と施策評価をあわせて公表するほか、総合計画のアクションプランとして策定した尼崎版総合戦略も施策評価を活用して評価を行うとともに、単年度の評価が難しい「未来へつなぐ」プロジェクトについても進捗管理の仕組みを構築するなど、継続的な改善を行ってまいります。  こうした取り組みに加え、今後におきましても一連の過程を公開し、各種情報を市議会の皆様へ適時適切に伝え、共有することを心がけるなど、積極的に説明責任を果たしてまいる所存でございます。  次に、評価制度を通しPDCAが適切に行われていると考えているのか、また課題解決の工夫と評価についてのお尋ねに一括してお答えをいたします。  現在の評価制度は今年度で2回目の実施であり、まだなお改善すべき課題はあるものの、総合計画の進捗管理を初め、施策評価結果を予算編成や定数査定に反映させるとともに、施策別予算枠配分制度も活用しながら、限られた財源を有効に投入、配分し、事務事業の選択と集中、転換を進めてきているところでございます。また、徐々にではありますが、職員の意識改革も図られてきているのではないかと受けとめています。  さらに施策評価の精度を高めるためには、市議会の決算審議の充実を含め、このPDCAサイクルを行政運営の中にしっかりと定着させ、施策の進捗管理を着実に行うことが重要であるとともに、職員の政策形成能力の向上を図ることが必要であると考えております。  次に、実施事業の課題とビジョンに係る年次計画の作成についてのお尋ねでございます。  実施事業の課題とビジョンの食い違いが生じないよう、各年度の実施事業につきましては、施策ごとに取り組みの成果と課題を整理した各担当局による1次評価をもって、私が直接、各局とのヒアリングを実施し、進捗や課題、今後の方向性を共有するための2次評価を行う施策評価を毎年度実施し、その評価結果を次年度予算の重点項目の設定や事務事業の見直しに反映させているところです。さらに施策評価結果につきましては、決算委員会にて議員の皆様にも御審議をいただいているところであり、今後も適宜その精度を高める努力を続けてまいりたいと思います。  次に、シビックプライドについてのお尋ねです。  御指摘のように、私もかねてから地域に対して誇りと愛着を持つシビックプライド、そして自分自身が、一人一人が当事者として地域にかかわっていくシチズンシップをあわせ持つことが今後のまちづくりに大変重要であると考えております。「ひと咲き まち咲き あまがさき」のまちづくりは、この2つをあわせ持って達成されるものと考えており、とりわけ市職員が率先してこの地域を思い、当事者として責任と役割を負う意識を持つべきだと考えております。  以上で、波多議員に対します第1問目の答弁を終わらせていただきます。  なお、他の教育に係ります問題につきましては、教育委員会から答弁申し上げます。

◎教育長(徳田耕造君)  波多議員の御質問にお答えしたいと思います。  全国学力・学習状況調査の結果に対して教育委員会はどのような評価をしているのか、また、どのような姿勢で教育行政に臨もうとしているのかとのお尋ねでございます。  全国学力・学習状況調査につきましては、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握、分析し、教育施策や学校における児童生徒への指導の充実等に役立てるという趣旨のもと実施されているものでございます。本市におきましても、教育施策の検証、見直しをするための基礎資料として活用するとともに、学力と生活との関連についてクロス分析を行い、特徴的な傾向と今後の改善策について報告書にまとめ、公表しているところでございます。  本年度の調査結果につきましては、いずれの学年、教科においてもおおむね全国レベルに達し、これまでの取り組みにおける一定の成果が見られたものと評価しておりますが、一方で児童生徒の主体的な活動を取り入れた授業の工夫、予習・復習といった学習習慣の定着につきましては改善の余地があるものと考えております。  教育委員会といたしましては、引き続きこれらの課題に対応するため、従前の学力向上クリエイト事業を拡充し、新年度からは新たにアクティブ・ラーニング推進事業、教員指導力向上事業、学力定着支援事業などを実施して、さらなる学力向上に向けて取り組んでまいりたいと考えております。  
質問要項(2)
1問目の答弁をいただきましたけれども、少し感想を。  丁寧な御答弁でしたけれども、行革の精神はどの程度入れられたかというふうな質問に対しまして、後期のまちづくりについての策定の中に生かしていきたいということだったんですけれども、大いに今の現状をもっとシビックプライドを持つような、また尼崎が早く収支均衡を保つようなことを入れて、後期のまちづくりの策定をお願いいたします。また、市営住宅にいたしましては、20年間で15%ということだったので、あと15年で3割いくかなということなんですけれども、10年間で5%だったら、そこの時点で15%だったら20%にしかいかないかなと。そうすれば2割しかできないので、もうちょっと工夫していただきたいというふうに思います。  教育委員会にいたしましては、尼崎市で分析してこれからも生徒指導についてのいい材料をつくっていきたいということですけれども、現に行われている報告書内容につきましては、他都市と比べて深度、結局、問題について適切な指導方法まで書いて出しているというところもありますので、そういうところ、細かく子供たちの指導に生かしていくような材料を出していただきたいなというふうに思っています。  それでは2問目に入ります。  第1問目ではシビックプライドという考え方を根底に据えてお尋ねしてまいりました。第2問目では少し視点を変えますが、同様の考え方をもとに私の考えを交えて質疑してまいります。  平成27年度の施政方針では、地域の愛着と誇り、すなわちシビックプライドを高める取り組みを重ねながら尼崎の未来を見据え、次の100年に向けたまちづくりを進めると述べられました。シビックプライドは行政職員も高めていく必要があると思います。  そこで、お尋ねいたします。  私は収支均衡、課題解決先進都市、都市の体質転換、ありたいまちという言葉を頭に入れるだけでなく、職員自身が骨身にしみて行政活動を実施していけば、課題解決先進都市やありたいまちが実現し、気がつけば職員自身のシビックプライドも上がっていくと思いますがいかがでしょうか、お答えください。  日本全体が人口減少、少子高齢化、さらに問題なことは、財団法人日本青少年研究所の調査結果では、若者に今の社会に満足感があるとの答えに対し、アメリカ72%、フランス54%、韓国19%、日本はわずか9%でした。また、21世紀に希望があるには、アメリカ86%、韓国71%、フランス64%、日本は34%という悲惨な結果で、日本の低さは突出しています。物は豊富になっても心の貧しい社会になっていると言っても過言ではないでしょう。  戦後、私が大きくなり公が小さくなった社会風潮、マスコミの中に多い反日ニュース、教育界に多い過去を責め、現在のよいところを伝えない教育等に影響されているのじゃないかと思います。教育は青少年に大きな情報となりますから、日本の過去のよいところ、悪いところ、現在の日本のよいところ、悪いところを適切に伝えることが仕事であり、自分の考えや風潮を喪失するようなことは、青少年の育成について罪になるのではないかと危惧いたします。今の教育はどうなんでしょうか。私は教科書、尼崎の教科書選定にも問題があると指摘しておきます。  さて、お聞きいたしますが、市制100周年を機に青少年の健全な育成のために、先輩が日本のよいところをもっと伝えていくことが大切と思います。現在の尼崎市の教育をどう評価されていますか。特に中学校教育にもっと私が指摘しているようなことなどを時間を割り当ててほしいと思います。どうでしょうか、お聞かせください。  尼崎市には多くの課題が山積しております。若者の流出、超高齢化社会、産業の停滞、教育力の向上、青少年の居場所、環境、安全・安心、住宅、収支不足、公共施設の削減、将来負担の増加と枚挙にいとまがありません。特に公を忘れ、シビックプライドが薄いことも大いに関連していると思います。  それでは、具体的に行政活動を述べたいと思います。  人口の流出超過自治体全国ランキング、平成27年度では31位になっていました。特に尼崎の調査資料では住宅に不満、環境がよくない、治安が悪い、学校教育に不満、気軽に参加できるものが少ないと、長く尼崎に住みたくない理由です。逆に言えば住宅、環境、安全・安心、学校教育、地域での気軽に参加できない地域力などに課題があるということです。そのためには、市長が言われる課題解決先進都市を目指す方針ですので、平成28年度行政活動が課題解決につながる実施事業となっているかどうかであります。  人口が減少している現在、市長はコンパクトシティーを目指すと言われています。そのため、PDCAを行う職員自身が課題解決に対する能力の向上に努めなければなりません。多くの実施事業は理念、目標、政策、施策の方向性、そして事業の実施となりますが、現場になるほど課題解決にはほど遠くなっているように思います。それは市長の理念や目標よりも、現場における過去の前例踏襲や現状維持の考え方が強いからではないでしょうか。  そこで、お尋ねいたします。  新規事業の査定において、ボトムアップは禁止でボトムダウンにより課題解決に適切な方向に修正して編成する方法が、都市の体質転換と職員のスキルアップを早く実現するためにもよいのではないかと思います。いかにお考えかをお聞かせください。  次に、市制100周年記念事業です。  大正5年4月に尼崎町に立花村の東難波、西難波を加えた地域に市制が施行され、尼崎市が誕生しました。その発祥の地、城内まちづくり整備事業が挙げられています。これまで幾度となく計画が先送りされ、潰されてきました。事業内容は歴史館機能や城址公園整備だけでなく、たまたまシビックプライドを持った方もあらわれたからかもしれませんが、尼崎城再現も含めたものと思います。  そこで、お尋ねいたします。  新政会は先日、岩国市に視察に行きました。錦帯橋から見える山の上に岩国城があり、再建当時で約4,000万円、現在で約10億円ということですが、天守閣の中には城に関する資料が展示されていました。尼崎城はどのような再現を計画しようとされているのでしょうか、お答えください。  次に、平成28年度の事業費の中身ですが、約43億円の大半が、土地開発公社が長期保有している土地の買い戻し経費です。公社からの買い戻しは、お城の話があるなしにかかわらず買い戻さなければならなく、稲村市長以前に生じた問題です。  そこで、お尋ねいたします。  土地開発公社健全化計画を策定し、塩漬け土地の圧縮を図ろうとしていた時点で約600億円の土地を保有していたと思いますが、その大きな内訳をお答えください。また、過去に行っていた土地開発公社の活用について、稲村市長はどのように評価されているのでしょうか、お答えください。  今回、買い戻した用地もバブル時に建物補償もあわせて取得したと聞いています。時の経済は不測の事態を生じさせますが、将来を見通して財政運営を行っていかなければならない行政としては、それだけで片づけられない問題でもあります。二度と同じ過ちを繰り返してはなりません。土地開発公社の長期保有地の買い戻し価格の問題は、経済不況だけが原因なのでしょうか。そもそも事業計画に問題がなかったのでしょうか。その当時、どのような考え方で土地開発公社により用地を取得していたのでしょうか。この問題は稲村市長の責任ではありません。先ほども申し上げましたように、再び同じことを繰り返してほしくないということでお聞きしているのです。あわせてお答えください。  公営企業の収入が激減する中で、平成13年度から平成22年度にかけて土地開発公社の保有地の買い戻しを行ってきましたが、城内の土地は高額にもかかわらず買い戻しは行ってきていません。保有している間に利子が積み上がってきました。  そこで、お尋ねします。  土地開発公社の塩漬けの土地の圧縮を図る上で、いずれ全ての保有する土地を事業化して買い戻しするのであれば、高額な土地から事業化していけば財政負担の面からもよかったのではないかと思います。城内の土地は今までなぜ買い戻ししなかったのでしょうか、お答えください。  稲村市長は以前、土地開発公社の廃止を検討と言われていました。今回の買い戻しは英断と思います。  そこで、お尋ねいたします。  今後残る土地開発公社の保有地の解消は、どのように進められていかれるのでしょうか。また、土地開発公社の廃止はいつごろ実施されようとしているのかお答えください。  次に、ファシリティーマネジメントについて、特に尼崎の市営住宅施策についてお尋ねしてまいります。  尼崎市が現在保有している市営住宅は約1万800戸で、同規模の自治体の約7,000戸より多く、その理由としては公営住宅のほか改良住宅やコミュニティー住宅、そして震災復興住宅を多数建設したためであります。しかしながら、震災の打撃が大きかった西宮市よりも多く、震災だけが原因でなく震災以前から多かったのです。建てかえれば市民の要求に応えられるという安易な考えで行われた結果が、今の現状になったのではないかと思います。  また以前、適正な戸数削減をお尋ねしたところ、空き家募集については依然として高い募集との答弁でしたが、利便性のよいところは競争率が高く、何かと不便なところは応募がないという現状であります。稲村市長の責任ではないですが、現在の市営住宅の戸数についてどのように考えておられますか。また、市営住宅の増加の要因、推移もあわせて御答弁願います。  尼崎市は、平成23年3月に、平成23年度から平成32年度の10年間の住宅マスタープランを策定し、市営住宅の管理戸数が震災前には9,000戸程度であったことを踏まえ、今後、漸減を図っていくとしています。こうした中、平成25年から平成34年までの10年間の行革の取り組みとして、「あまがさき「未来へつなぐ」プロジェクト~持続可能な行財政基盤の確立に向けて~」が策定され、また、これに基づいた取り組みとして、平成26年6月には公共施設マネジメント基本方針が策定されました。  基本方針では、圧縮と再編、予防保全による長寿命化、効率的、効果的な運営を掲げ、施設総量を抑え、維持管理や保全等に係るコスト抑制と総量削減による建てかえの財源確保の必要性が示されていました。また、基本方針の目標設定として、尼崎市の公共施設の保有量を平成26年から60年度までの35年間で30%削減するとしています。こうした一連の取り組みは平成26年4月の国からの通知による各地方公共団体への公共施設等総合管理計画の策定に先んじて行われておりますが、何か総花的な方向性に思えます。  次に、平成27年9月に提出された市営住宅建替等基本計画素案を読みますと、まず3住宅の建てかえが優先され、35年間で30%以上の削減を見開きの最後にちょっと記述されていました。木を見て森を見ずといった方向に思えました。平成60年までに市営住宅保有を3割以上削減できるのでしょうか。そうであれば、尼崎市は若年世帯が流出するような以前のような市営住宅を建てかえるのではなく、若者や隣同士で複数家族世帯となるような市営住宅のあり方に転換していくことが都市の体質転換につながる住宅政策ではないでしょうか。高齢者は若者の、若者は高齢者の家族と隣同士で住むことにより、核家族化の速度が鈍くなり、次第にありたいまちの理念と方向が合致していくのではないでしょうか。  これから多くの予算が執行されていきますが、都市の体質転換の絶好のチャンスとして、平成28年度中に策定されるファシリティーマネジメント基本計画に、市営住宅の具体的な削減計画を適切に書き込むことが、将来の尼崎にとって必要だと思います。今までの市営住宅の戸数にこだわることなく、理念の方向を堅持することが子や孫に正しくバトンを渡すまちとなります。  そこで、お尋ねいたします。  市営住宅の削減を30%以上削減と出していますが、もう少し具体的に、いつまでにどの程度していくつもりでしょうか。また、建てかえに際しまして、これまでのような建てかえでなく都市の体質転換につながるような考え方を出してほしいと思いますがいかがお考えでしょうか、お答えください。  次に、産業のものづくり施策についてお尋ねいたします。  若者の流出を食いとめるどころか流入させるためには、市が取り組む雇用のマッチングよりもものづくり、特に尼崎に多い事業所をサポートする支援事業を充実することが効果的だと思います。まだ景気が隅々までよくなく、経済が活発になっていない今、強いて雇用に力を入れることに加え、まず経済活動に勢いをつけるための支援事業こそ行政として常に一番大切なことではないかと思います。  尼崎市の行政施策にものづくり支援事業もありますが、限られた事業職種、つまり規模が小さく、他は融資事業が多いのが実態です。事業所の抱えているあらゆる方向からの支援策を提供できるビジネスサポート事業を行っている富士市や岡崎市があります。岡崎市に昨年、視察に行きました。  そこは岡崎ビジネスサポートセンターといい、岡崎市と岡崎商工会議所が協力して運営し、岡崎市図書館交流プラザにありました。スタッフは中小企業支援と若者をつなぐ成功事例として、全国的に評価されているNPO法人G-net代表、秋元祥治氏がセンター長で、10人ほどのスタッフがおられました。販路拡大、経営、起業、創業、資金、アドバイザー派遣、情報発信などを実績ある人が日曜日でも相談に乗り、また年間に多くのセミナーを開催し、例えば2016年2月5日には、16時30分から20時30分「自社ブランドのつくり方~従業員19人の町工場が仕掛けた商品展開~」等のセミナーが行われています。このように小さな事業所でもその課題に即座に方向性やヒントを提供し、支援しています。やはり効果は上がっているとのことです。事業所が活発になれば余裕も創出し、雇用も徐々に拡大し、若者も仕事があるとして流入にもつながります。  そこで、お尋ねいたします。  この事業の予算は8,000万円程度です。人の糧となる経済活動、その中でも効果のある事業を優先的に進めることが、ありたいまちや都市の体質転換につながると思いますが、PDCAを行って同じような幅広く即座に適切な対応をする事業を進めていくことが大切と思いますが、お考えをお聞かせください。また、尼崎市の現在の施策展開の評価もあわせてお答えください。  次に、学力向上と生きる力を育てることについてお尋ねします。  何回も申しますが、先ほども述べました日本青少年研究所が行った中高生へのアンケート、今の社会に満足感があるとしてアメリカ72%、フランス54%、韓国19%、日本9%で21世紀に希望があるにはアメリカ86%、韓国71%、フランス64%、日本が34%というような悲惨な結果であります。今の日本は物で栄えて心で破滅しているということじゃないでしょうか。なぜでしょうかと考えてしまいます。  戦後70年を過ぎてもまだ戦争の責任と言っている人がいます。大げさに言えばドイツでは国民全てに戦争責任だと教えています。日本では犠牲者と責任者を分けたがる人がいます。私は本当は全てが責任者であり全てが犠牲者だと思っています。この考え方から出発しないと、人は育てることはできません。  子供の就学年次になると転出していく若者層が多く、その理由は子育てと学校教育に不安として、転出先は近隣他都市です。以前、尼崎市の学力が低いのはという話で、家庭が悪い、先生が悪い、社会が悪いとの堂々めぐりをしたことがあります。いつまでも責任のなすりつけ合いをしていたら、現状は転換いたしません。立場は異なっていてもそれぞれが日々、一生懸命に青少年を自発できるように育てる心で接していれば、青少年には伝わり、広がっていきます。本物の心と行動を行う人に会ったら青少年は気がつくと思います。  全国で学力トップの秋田県秋田市の学力向上に係る取り組みを新政会で視察に行きました。人口は32万人です。秋田市のレジュメには、1、本市の概要、人口32万人、平成9年度から中核市。学校数、小学校45校、中学校24校。自立施設、小学校・中学校各1校、高等学校2校、専修校1。単級学校数、小学校15、中学校6。児童生徒数、小学校1万5,000人、中学校8,000人、教員1,500人、指導主事15人。  2、秋田市の学力向上に係る取り組み。1つ、秋田市学校教育の重点の周知と活用、毎年60ページの本を12月から3月までで作成をする。2つ、学校訪問での指導、(イ)計画訪問、小学校は6月から7月、中学校は10月から11月、午前中に校長、教頭、教務主任、生徒指導から研究取り組みを聞く。2つ、一般授業を巡回する。午後から特定授業のみ残り、生徒は帰る。特定授業、協議会、意見交換会を毎年行う。(ロ)要請訪問、学校からの要請で授業を見て意見交換する。  3、教員研修、全74講座。ちなみに研修所は学校を統合し、あいた学校を改修したところで、教育は外見でなく実質という証拠であります。専門研修、各教科、小中合同研修、全市一斉授業研究、10月、11月。  4、学力調査の活用。4月、全国テスト、10月、基礎学力テスト、12月、県学習テスト週間があり、1つ、全国学力・学習調査状況により7月に学習指導改善の方策。これはテスト後、本部より問題の意図が送付され、それを受けて作成し、各学校へ配布する。10月、秋田市の調査結果をホームページで公表。2つ、市の基礎学力調査、10月実施により作成。作成するものは、授業改善のヒント、調査結果の分析、授業改善のポイントの作成、各学校に3月に配布。全国テストの結果を踏まえて実践事例集作成、各学校配布、3月。なお、秋田県もテストの結果、学校改善支援プランを作成、配布しています。  これが秋田市の学力向上実施事業です。秋田市では現場の教職員が生徒の問題点、改善・指導方法を市教育指導員が中心となって作成し、全教員が全学校で生徒に細やかに対応できる授業の仕方を作成し、配布、ホームページで公表しています。秋田市の教育委員会、教育研究所の教育資料のところをクリックすれば見れます。  私は、説明された教育指導主事の方に一丸となって取り組まれているのはうらやましいですと言いますと、率直にありがとうございますと言われました。その言葉の奥には何か常に生徒を伸ばしていこうとする充実と責任感が伝わってきました。  そこで、お尋ねいたします。  尼崎市においても、平成27年度より平成28年度は学力向上事業においても新規拡充等取り組みが見えます。生徒は家庭学習を中心に意欲を伸ばす事業や、学校において中学校や研究会の招聘に応じて講師派遣、中学校では英語検定の推奨等があります。秋田市のように教育指導主事の人数を増加させ、機能を高めて全学校、全教職員を対象とした毎年行われる学校計画訪問、全国や市で行ったテスト結果を活用した全教職員に対して生徒指導における課題抽出と細かく適切な改善方法の作成と配布が全校・全教員の指導力の向上となる。課題解決の教育と方向性が正しく修正されると思います。どのように考えておられるのかお聞かせください。  次に、提案します。  人間力向上について、小学校では地域の歴史を大人に教えられるように、中学校では事業所で苦労して働いている人の現場を見て、また話を聞く、高校生は代表が出て高校議会を年に1回行って、今の課題について提言、質疑をし、行政が答弁し、よいものは政策に入れるようなことをする。  そこで、お尋ねいたします。  小中高の生徒がそれぞれ社会に参加して、よいシビックプライドを育成することが夢や目標を持つ手がかりとなると思います。ただ単に見て回る体験でなく、自分自身が行って身につくことも大切と思いますので、ぜひ取り組んでいただきたいのですが、お考えをお聞かせください。  次は最後になりますが、自治基本条例についてお尋ねいたします。  自治とは、社会生活を自主的に営むことです。住民が主体でありますが、住民が行政と市に任せて行っているのが現状の自治体の運営活動であります。尼崎市は今、自治会と社会福祉協議会が基本的に同じ組織体で行っています。つまり以前からある自治会組織の上に社会福祉協議会を乗せて出発しました。そのように私は理解しています。その問題を改善しながら地域で形成していく協働のまちづくりなら理解はできます。  しかしながら、地域を支えて活動しているいろんな組織の人たちの地域力を生かし高める努力をせず、急いで住民参加の自治運営として自治基本条例に邁進する理由が理解できない。尼崎市のありたいまち、まちづくりを目指して地域力を高めるには、心の根底に尼崎愛を共有することが不可欠であります。NPOも含む市民活動団体は、必ずしも尼崎市だけでなければならないという人だけではありません。そのためにも地域力を形成していくにはシビックプライド、尼崎を魅力あるまちにしようとするには、まちづくりの核とはなれないと思います。協力者としては十分でしょうが、どのような調整もできる人が核になる、これこそが一番大切です。それもしないで住民投票を盛り込んだ自治基本条例でできるまちは、目指す正しいまちの方向になっているでしょうか。  そこで、お尋ねいたします。  地道な地域貢献をしている人たちの地域力をよりよくする努力も余りせず、住民投票を市民参加と上辺だけのまちづくりを急ぐ理由をお聞かせください。あわせて地道な地域力を醸成する努力が見えてこないのですが、平成28年度施策ではどのような取り組みを行っていかれるのでしょうか、お聞かせください。  新政会は、機能する真の市民参加として自治を目指しています。その手段として高校生代表による議会を年1回行うという手段を提案しました。劇場型の自治基本条例、つまり常設型の市民投票や権利条項が前面に出ている条例には理解しにくいことを申し述べておきます。  以上で新政会代表質疑は終わらせていただきますが、我が新政会は、良識ある市民の人たちが充実した暮らしができますよう、ひと・まち・あまがさきを日夜よりよくしていく努力を惜しみません。  なお、質疑ができませんでした重要な項目は、新政会の議員が分科会、総括質疑、意見表明を通して議案の採決に臨んでいきたいと思います。当局並びに議員の皆様方におかれましては、長時間の御清聴ありがとうございました。
答弁要項
◎市長(稲村和美さん)  それでは、波多議員の第2問目の質疑に対しまして順次お答え申し上げます。  最初に、職員のシビックプライドの醸成についてのお尋ねです。  ありたいまちの実現やシビックプライドの醸成に当たりましては、御指摘のとおり職員自身が総合計画等を十分に理解し、それに基づいて行政運営を行う必要があると考えております。  そうした中、本市におきましては、ありたいまちの実現と都市の体質転換に向けて、施策評価を中心としたPDCAサイクルに基づく行政運営の仕組みを構築していく中で、市民目線や改革志向をもって困難な組織課題に積極的に挑戦し、目標を最後までなし遂げようとする職員を評価するなど、各種の取り組みを推進している途上にあります。  今後におきましても、職員一人一人が本市が目指すべき方向性を意識しながら、事務事業の改善や新規政策の立案を行うこと、時代が大きく変化する中、多様な方々と連携できる力を磨くこと、そしてそのような中で今日的な職員の役割を自覚し、仕事の質を高めることを目指し、さらなる職員の意識改革や実践を促進して、本市シビックプライドの醸成の核となる職員の育成と、より効果的、効率的な行政運営の推進に努めてまいります。  次に、ボトムダウンによる新規事業査定についてのお尋ねにお答えいたします。  やや繰り返しにはなりますが、私は市長就任以来、職員一人一人にPDCAサイクルの意識を浸透させ、それを踏まえた政策立案や改革改善の取り組みを進めていくよう、職員研修等あらゆる場で職員に伝えてきました。  議員御指摘のとおり、私も行政は本来、手段であるはずのことが目的となってしまう傾向が強いとの問題意識を持っており、政策立案の前提となる施策評価では、施策の進捗を図るため、新たな目標指標と目標値も設定するなど、その評価結果に基づき個々の事業が施策の目標達成に効果的であるかということを踏まえ、新規事業等の実施可否を判断するよう努めているところでございます。  PDCAサイクルに基づく行政運営においてチェック機能をより強化していくためには、施策を構築する際の成果指標と目標の設定が非常に重要であると考えており、施策評価結果を踏まえた事業構築までの一連の作業の中で、御提案いただいた考え方も含め、職員のスキルアップと意識改革を図るよう引き続き努めてまいります。また、これも繰り返しになりますが、決算審議等を通じまして、また議会の議員の皆様からも積極的な御指摘、御指導いただければというふうに思っております。  続きまして、尼崎城についてのお尋ねでございます。  このたび御寄附により建設される尼崎城につきましては、かつての場所とは異なりますが、尼崎城の城郭内に建設されるものでございます。幸いにも当時の図面等が保存されていることから、現代工法によるものの、外観は忠実に再現できるものと考えております。また、内部につきましては、現在他のお城の事例等を調査しており、お城を初め歴史に関する展示や、さきの議会でも御提案のありましたホールとしての利用など、さまざまな用途が考えられるところです。あわせて維持管理費についても十分考慮する必要があると認識しております。  いずれにいたしましても、建築される尼崎城が市民の皆様に末永く愛され、子供たちはもちろん、国内外の方々にもぜひ訪れたいと思われるすばらしいものとなるよう取り組んでまいります。  次に、土地開発公社健全化計画策定時の主な保有地の内訳と、これまでの公社の活用への評価についてのお尋ねでございます。  土地開発公社経営健全化計画策定の平成12年度時点において、保有していた公有用地の主な内訳を計画時点の簿価で申し上げますと、現在、アルカイック広場として活用しているシビックゾーン生活文化拠点開発事業で約155億円、尼崎の森中央緑地などとして活用している尼崎臨海西部拠点事業で約72億円、丸島町埋立施設建設用地で約43億円などのほか、公有用地に係る建築利息で約118億円となっておりました。土地開発公社の活用につきましては、昭和48年の設立以来、経済の高度成長期において地価が年々上昇し、予算措置から取得契約までの間に土地の値段が相当上昇してしまうという事態が見られた当時の状況下においては、土地取得の手続を機動的、弾力的に行うという機能を発揮したものと考えます。  一方、バブル経済の崩壊以降、それまでの地価の上昇トレンドが崩れるとともに財政状況も悪化し、結果的に本市財政の体力以上に負債を抱える状態に陥りました。公社が先行取得した用地を買い戻すことが困難となったことなどに伴い、土地の保有期間が長期化し、金利負担が増大したことは今般の財政を圧迫する要因の一つとなっているものと考えております。  続きまして、過去の事業計画、公社による土地の先行取得の考え方についてのお尋ねでございます。  土地開発公社による土地の先行取得につきましては、取得当時の社会経済情勢や財政的背景のもと、その時々の市の政策判断として実施してきたものと考えますが、その後の情勢の変化により今日の多大な財政負担が生じることとなったことから、現在、事業の実施に際しては効果面や効率面、後年度の財政負担を十分勘案した上で取り組んでいるところでございます。  次に、城内の土地をなぜ今まで買い戻ししなかったのかとのお尋ねでございます。  本市では、平成12年度末時点で600億円を超える土地開発公社の負債の解消のため経営健全化計画を策定し、平成13年度から平成22年度まで、その負債の解消に努めてきました。この10年にわたる取り組みの中で、厳しい財政状況の中ではありましたが、簿価の高い用地についてもアルカイック広場用地、尼崎臨海西部拠点事業用地、丸島町埋立施設建設用地と順に買い戻しを行ってまいりました。  城内地区の土地につきましては、経営健全化計画策定時においては、その活用に向けた検討を行っていたことから、計画の対象に位置づけられていませんでしたが、平成23年に歴史博物館建設事業の廃止を決定して以降は、金利負担の増大を抑制するため、依然として厳しい財政状況の中にあっても、100周年を視野に買い戻しに向けた検討を行ってきたところでございます。こうした中、このたび城内地区の事業化に伴い、国庫補助金や市債といった財源の活用も可能となり、買い戻しを行うこととしたものでございます。  次に、土地開発公社の保有地の解消方法、公社の廃止時期についてのお尋ねでございます。  公共事業の実施のためには、引き続き土地を先行取得する手段は必要であり、公社を廃止する場合、これにかわる手段への転換が必要となりますが、現在の本市の財政状況を勘案しますと、直ちに先行取得の方法を変更することは難しいものと判断しております。  しかしながら、公社のあり方は私のかねてからの問題意識でもありますことから、これまでの教訓を踏まえ、平成25年度より、原則として公社取得完了の翌年度までに市による買い戻しを実施するというルールを明確化し、債務負担行為を適切に設定するなど、その運用を徹底しているところでございます。残る公社の土地保有地につきましては、おおむね公社の自己資本により賄うことができるため、新たな財政負担がほとんど生じないことから、今後、財政状況や事業計画に応じて順次解消していきたいと考えております。  次に、現在の市営住宅の戸数と増加要因、その推移についてのお尋ねでございます。  本市の市営住宅は、昭和40年代から50年代にかけて多くの一般公営住宅を建設したほか、住環境の改善が必要である地区において改良住宅やコミュニティー住宅などの事業系住宅を大量に建設し、これらは市営住宅の約半数を占めています。さらに阪神・淡路大震災を契機として震災復興住宅を多数建設してきております。その結果、本市の市営住宅の管理戸数につきましては約1万800戸となっており、中核市全体の平均である約4,700戸よりも大変多くなっているものと認識しております。  次に、市営住宅の削減についてのお尋ねでございます。  市営住宅建替等基本計画の素案では、耐震性能に課題がある住宅を建てかえまたは廃止することにより、先ほども御答弁申し上げましたとおり、計画期間である今後20年間で管理戸数をまずは15%、1,632戸削減することとしております。さらに、本計画終了後におきましても耐用年数である70年程度を経過したものから順次廃止し、公共施設マネジメント基本方針の目標年度である平成60年度には16.7%、1,821戸の削減を行い、合わせて31.7%、3,453戸の削減を予定しております。  また、都市の体質転換を図るため、市営住宅の建てかえによって創出した余剰地や廃止した住宅の跡地を優良な住宅地となるよう民間に売却し、ファミリー世帯の定住、転入を図っていきたいと考えております。  次に、富士市や岡崎市で実施しているビジネスサポート事業に照らし、本市の産業施策に対する評価はどうかとのお尋ねでございます。  平成26年10月に産業振興基本条例を制定し、産業振興、起業の促進、雇用就労の維持創出を柱として今年度、産業・雇用就労施策の再構築を行いました。本市の産業振興については、尼崎商工会議所を初めとした産業関係団体、地域金融機関に加え、本市産業振興施策の具現化を担っている尼崎地域産業活性化機構や、技術支援を行うAMPIなどがそれぞれの専門性を生かすとともに、連携して取り組んでいる点が特徴です。平成27年10月には、中小企業センターに創業支援オフィス・アビーズを設置し、事業者が参加しやすいよう、各種セミナーや総合相談を実施。また、事業者の販路拡大支援については尼崎商工会議所、資金面等の融資相談については地域金融機関と連携するなど、従来からのネットワークを生かし、オール尼崎で起業から事業所の発展段階に応じて伴走型支援を行っているところです。  今後は、産業振興の役割を担う産業関係団体や地域金融機関等が参画する産業振興推進会議を活用して、本市産業施策に対するPDCAサイクルを回していくこととしており、議員御指摘の岡崎ビジネスサポートセンターの取り組みのように、既存事業も含めた総合的な窓口の体制や専門相談員の層の厚さといった点等につきましても検討を進めてまいります。  次に、住民投票を含む自治基本条例と地域力の醸成についてのお尋ねでございます。住民投票につきましては、広く市政参画への意識醸成、市民自治の促進を図る仕組みの一つとして、また間接民主制を補完するものとして、将来に備え制度化していこうとしているもので、対象案件に関する十分な議論、住民自身の学びが深まることが大切であり、適切な実施条件の整備や客観的な情報提供機会の確保等に取り組む必要があると認識しています。  重要事項に関して、みずからの1票で結果が変わるという可能性が市政への関心や当事者意識、みずからの判断や選択に対する責任感を高め、主体的に学ぶ意識や姿勢の醸成につながるよう取り組んでいきたいと考えております。  地域力の醸成につきましては、議員御指摘のとおり極めて重要であると認識しており、地域の主体的な取り組みの支援に努めるとともに、市民の皆様の意識醸成にも取り組んでいかなければならないと考えております。地域力の醸成に向けた平成28年度の取り組みといたしましては、地域での防災、防犯の取り組みや高齢者の見守り、支え合いの推進に向けた新規・拡充事業に取り組むほか、あまがさきチャレンジまちづくり事業に係る高校生向けのプログラムの充実や地域での子育て支援、健康づくり支援などにも引き続き取り組んでまいります。  さらには、こうした地域の取り組みを支える仕組みとして、地域振興センター機能の再構築や地域別予算制度の検討など、地域の主体的な活動を支援する体制づくりについても検討してまいります。  以上で、波多議員の第2問目に対します答弁を終わらせていただきます。  他の教育に係ります問題につきましては、教育委員会から御答弁申し上げます。

◎教育長(徳田耕造君)  波多議員の御質問に順次お答えいたします。  青少年の健全育成のために日本のよいところをもっと教えていくことが大切であると思うが、現在の尼崎の教育をどう評価しているのか、特に中学校教育において取り組むべきと思うがいかがかとのお尋ねでございます。  各学校におきましては、学習指導要領に基づき、道徳の時間を中心に我が国や郷土のよさを知り、豊かな心や公共の精神をとうとび、ともに助け合う社会を形成するといった内容を児童生徒の発達の段階を考慮しながら適切に指導しているところでございます。また、本市独自の取り組みといたしまして、生命を尊重する心、規範意識の育成を中心としたこころの教育推進事業や、生徒が主体的に課題を見つけ、地域に参画しようとする社会力育成事業を通じ、それらの力の育成を図っているところでございます。  その結果、全国学力・学習状況調査では、中学校において学校のきまりを守っている、また人の役に立つ人間になりたいと思うという項目において改善が見られるなど、これまでの取り組みが一定の成果を上げていると考えておりますが、さらに新年度からは社会力育成事業を全ての中学校に広げることで、生徒が主体的に地域に参画し行動することにより、地域への愛着や誇りを育み、みずからの手で地域や社会をよくする態度を育成していきたいと考えているところでございます。  次に、秋田市のような全校・全教員を対象としたきめ細かな取り組みによって課題解決の教育と方向性が正しく修正されると思うがどうかとのお尋ねでございます。  秋田市のようなきめ細かな取り組みは、学力向上にとって効果があるものと認識しており、加えて各学校が自校の学力向上に向け、主体的、積極的に取り組むことも重要であると考えております。  本市におきましては、国や市が実施する学力調査結果の分析を通して全市的な課題を明らかにし、学力向上の方向性を示しており、各学校では市の分析を踏まえた上で自校の課題を把握し、その解決を図るため、学校独自の総合的な学力向上策である学力向上アクションプランを作成し、それに基づいた学力向上の取り組みを推進しているところでございます。教育委員会におきましても、学力向上アクションプランに基づく各学校の取り組みが効果的なものになるよう指導を行うほか、授業改善アドバイザーを活用した若手教員に対する継続的な指導や、校内で実施している研究授業に対する指導助言などを通して授業力向上に努めているところでございます。  今年度の全国学力・学習状況調査において、いずれの学年、教科においてもおおむね全国レベルに達していることから、これまでの取り組みにおける一定の成果があったものと考えておりますが、今後につきましても秋田市等の取り組みも参考にしながら、より効果的な学力向上施策を進めてまいります。  次に、小中高の生徒が社会に参加し、よいシビックプライドを育成するため、見て回る体験だけでなく自分自身が行うことが必要だと思うがいかがかとのお尋ねでございます。児童生徒が主体的な活動を通して地域への愛着や誇りを育み、将来への夢や目標を持つことにつなげることは、非常に大切なことであると考えております。  そのため、本市におきましては、小学校での環境体験学習やかんきょうモデル都市あまがさき探検事業の中で地域のよさを見つけ、具体的な行動につなげる学習に取り組むとともに、中学校では地域に学ぶトライやる・ウイーク推進事業や社会力育成事業を通して主体的に地域や社会に参画し、行動する力の育成を目指しております。また、市立高等学校では市内の事業所における就業体験を実施するなど、児童生徒の発達段階に応じて自分たちが住んでいる地域に愛着や誇りを持てるような取り組みを行っております。  今後とも、御指摘のような参加、参画を取り入れたさまざまな取り組みを通して、地域に愛着と誇りを持った児童生徒の育成を図ってまいります。
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